勤めていたタレントキャスティング会社から、営業秘密(報道では「営業機密」となっています。)を持ち出したという疑いで同社を退職した者が逮捕されたというニュースがありました。(逮捕された被疑者に犯罪が成立するのか、検察が起訴するのかどうかは報道からは分かりません。)
ニュースの中では、持ち出された情報には、「女優の名前や年齢、そして出演料、さらに「バラエティっぽい案件はNGの可能性あり」などといった契約に関する情報」があったとのことです。
この情報についてだけいえば、営業秘密の3要件のうち、非公知性が問題になりそうです。タレント(芸能人)のキャスティングをする業界でいえば、女優の出演料やバラエティNGというような情報は、多く知られていそうな情報ですので、不特定者でも容易に知ることができそうな情報だからです。つまり、報道された情報の例示では、「営業秘密」となるのか争いの余地がありそうです。
ですから、おそらく、本当に肝の情報としてどういうものが持ち出されたリストに実際に載っていたのかは、営業秘密として保護されるべき重要情報なので、持ち出された例示としても警察等から漏れてはいないのでしょう。
一般には報道されてもいない人間関係のNG(共演NG)とか、もっと繊細な情報の持出しが行われたので、刑事事件にまで発展したように見えます。
※退職しようとする人は、元の職場から情報の持出し(営業秘密の持出しとして不正競争防止法違反の犯罪)や物品の持出し(窃盗罪や横領罪)が疑われるようなことの無いように注意すべきです。
※企業としては、退職する人が情報の持出しをしないように、退職予定者の情報へのアクセスを制限したり、貸与物を速やかに返却させたり、情報の持出し等をしない旨の誓約書を取って警告しておく等の対応が必要です。
“主演クラスの女優リスト”持ち出しの疑いでタレントキャスティング会社元社員(36)を逮捕