少し前に、韓国のサムスン電子で機密情報をChatGPTに入力してしまった、というニュースがありました。
これからどんどんと、ChatGPTといった生成系AIのサービスが広まっていくことでしょう。
そうなると、自社の営業秘密を従業員がAIに入力してしまうという事態も今後は増えていくと思われます。
AIに限る話ではなくて、他社のサービスに自社の営業秘密が接っするようなことになれば、営業秘密の漏洩の危険は生じます。
このコラムを御覧頂いた企業の方は、営業秘密の管理・利用について、社内でもう一度見直してみてはいかがかと思います。
営業秘密をChatGPTといったサービスに入力して、他社に出力されるような事態になった場合、営業秘密の3要件の一つの「非公知性」が失われてしまうおそれがあります。
ChatGPT3.5に質問してみたところ、次の回答がありましたので、無料のChatGPT3.5では、そういうおそれはないかもしれません。
「このチャットに入力したコンテンツは、OPENAIに利用されますか?」
「いいえ、2021年9月までの情報に基づいてお答えすると、OpenAIはこのチャットをトレーニングデータとして使用することはありません。OpenAIは以前のトレーニングデータから作成されたモデル(私のようなもの)を提供しており、ユーザーの入力はモデルのトレーニングには使用されません。ただし、OpenAIは一般的なユーザーのプライバシーとセキュリティに非常に配慮しています。詳細については、OpenAIのプライバシーポリシーを確認してください。また、最新の情報やポリシーについてはOpenAIの公式ウェブサイトで確認することをお勧めします。」「GPT-4.0では利用されますか?」
「私の知識は2021年9月までのものであり、その後のOpenAIの進展や新しいモデルについての情報は提供されていません。GPT-4.0がリリースされた場合、OpenAIの方針によっては、このようなチャットモデルに新しいトレーニングデータを組み込む可能性があるかもしれません。ただし、具体的な詳細や方針についてはOpenAIの公式ウェブサイトや公式発表を確認することをお勧めします。最新情報はそちらで提供されるでしょう。」
ChatGPTを運営するOpenAI社のホームページの「よくある質問」では、次の記載がありました。(翻訳はGoogle先生によります。)
「OpenAI はモデルやサービスを改善するために私のコンテンツを使用しますか?
OpenAI API を通じて送信されたデータは、OpenAI モデルのトレーニングや OpenAI のサービス提供の改善には使用されません。非 API コンシューマ サービス ChatGPT または DALL·E を通じて送信されたデータは、モデルを改善するために使用される場合があります。」
この記載からは、OpenAI社のホームページのChatGPTを使ったり、画像生成AIのDALL・Eを使った場合は、入力したデータが利用されるおそれがあるということになります。
もし、秘密とすべき情報についてこれらのサービスを利用する場合は、オプトアウトの手続きをして、利用を拒否しておく必要があります。
(利用規約にも同様の規定があります。)
また、OpenAI社と秘密保持契約を締結するわけではないので、OpenAI社が入力した情報を秘密として管理してくれるとは期待できません。
さらに、OpenAI社の従業員等が入力された情報に接する可能性があります。
そういう状況を呑んだ上で、AIのサービスの利用をする必要があると考えます。
営業秘密を保持する企業は、ChatGPTやChatGPTを利用するサービス、その他のAIのサービスを利用する際は、営業秘密ほか秘密情報の流出に注意すべきですし、そのようなサービスの利用について社内のマニュアル等を整備する必要がある時代になっていると考えます。