農林水産業の分野においても、技術やノウハウなど種々の秘密とすべき情報があります。
これらの情報に関し、屋外の実施については、「秘密管理性の客観的判断が難しい」という指摘があります。(『改訂版 攻めの農林水産業のための知財戦略』(2021年、経済産業調査会)21頁)
誰でも見ることができるような屋外での実施については、不正競争防止法の「営業秘密」の3要件の一つの「秘密管理性」が認められない可能性が高くなるのは指摘のとおりでしょう。
そうはいっても、秘密とすべき情報を不正競争防止法の「営業秘密」として必ずしも保護できないわけではないと考えます。
情報の性質や情報の実施方法に応じた秘密管理性を保持する措置を講じることは可能だからです。
仮に結果として「営業秘密」の秘密管理性が裁判等で否定される可能性があるとしても、情報を保護するために対応策を講じておく必要はあります。
屋外での実施だから、農林水産業のノウハウだからといって、秘密として管理することをあきらめることはありません。